#青天を衝け 今のところの感想。「目標を青天にいれてスイッチ…目標を青天にいれてスイッチ…」
エピソードを淡々と消化していくだけのドラマに思える。とくに感情が動かない。
渋沢栄一がどうしてそこまで子供を待ち望んでいたのかも特に説明していないので、懐妊が分かって喜んでいるシーンもなんだか他人事に思えて一緒に喜べないし、栄一の妻が「最近はしかめっ面ばかりだった」と言うシーンも(いやいや最近の渋沢栄一は江戸に行けたりしたし割と楽しそうな顔が多かっただろ)と思ってしまう。
「その手で安藤を斬れ」のシーンも、俳優さんががんばって迫力を出していたが、なんかノリきれない。俳優さんが悪いのではなく、大橋訥庵をただ恐怖を煽る偏屈な悪者のように描いている脚本のせいだろう。例えば悪役なりにカリスマ性のある人物のように描いたりしていないので、(尾高がどうしてこんな無茶を言うやつについていってるのか意味が分からないな)という感想で終わってしまい、特段の感情が湧かない。『龍馬伝』で岡田以蔵に人斬りをやらせた武市半平太の描写と比べると、今作の大橋訥庵はえらく魅力に欠け、ただ筋の通らないことを言い募るだけの偏屈じじいになっている。フィクションなんだからどんどん適当にいい感じにしたらいいのにと思えてくる。
「開国」が強烈なインフレを起こしたことを理解しないと幕末の「攘夷」が何故あんなに盛り上り、広範な支持があったのかわからないですね #青天を衝け
— まとめ管理人 (@1059kanri) 2021年4月18日
『龍馬伝』だと、金に見立てた饅頭をおぼんか何かに載せながら、当時の貿易を通じていかに海外に金が流出し国内経済が混乱していったか、龍馬が説明を受けるシーンがあった。教養のない龍馬(というか我々視聴者)にも理解しやすいよう、視覚的に伝わりやすい解説になっていた。『青天を衝け』において同様の意図を持つシーンとしては、単に閑散とした江戸の街で少々の人々が騒いでいるのが少し映されるだけで、これではインパクトにも説得力にも欠ける。せっかく渋沢栄一を扱っているのに、『龍馬伝』よりも経済に関する描写があっさりしているのは正直どうなんだ。
『いだてん』が、よく知らない人物がどんどん出てくるにも関わらず大変おもしろかったので、『青天を衝け』にも期待していたのに、本当に残念だと思う。『いだてん』と違い、登場人物と気持ちを一つにしてストーリーを伴走できないので、劇中の全てが他人事に思える。
放送開始直後の2月に行われたインタビューで、橋本愛が印象に残った撮影を回想した。結婚初夜で、栄一が「抱いていいか」と迫って来た時に「何だこれは! キュンキュンを100%詰め込んだセリフだ」と思ったと明かしていた。「こっ恥ずかしくて、本番までに恥ずかしさを取るのに一生懸命だった」とも。そんな心理状態で演技していた橋本の表情を楽しみにしていた。
それなのに、もう妊娠? 橋本が「キュンキュンした」初夜の場面は、どこに行ってしまったんだろう。番組関係者に聞いてみると「該当シーンは放送時間の都合上、カットになったようです」。うーん、残念。
栄一が江戸へ出入りし、攘夷の思いを抱き始めた。従来の“江戸編”と平和な“深谷編”に加え、栄一や喜作(高良健吾)、尾高惇忠(田辺誠一)のきな臭い“攘夷編”も描かれ始め、ネタが増えている。現場での数回にわたる台本の作り替えに加え、局内では放送直前までタイトルの練り直し、映像の編集作業に追われているというのも、うなずける。
まだ放送開始2か月目だが、今のところ、よく知らない人物の、よく知らないエピソードが淡々と流れてくるだけのドラマになっている。
前の記事:
次の記事: